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執筆者の写真上町カウンセリングオフィス

「発達障害」が増えている…?

時々こんな言葉を耳にすることがあります。


「発達障害」「自閉スペクトラム症/障害(ASD)」「ADHD」という言葉はすっかり一般的になりました。基本的に発達が偏っていない人などおりませんし人はそれぞれその人なりの特徴を持つものですが、これだけこれらの言葉が広まるのは私たちの認知や注意の在り方が変わってきているという側面があるからなのかもしれません。


先日『新記号論』という本を読んだのですが興味深い知見が紹介されていました。『新記号論』は作家・思想家の東浩紀氏が設立した株式会社ゲンロンが運営するゲンロンカフェというイベントスペースで行われた東京大学教授の石田英敬、東浩紀、両氏の講義を収録したものです。


その中で人は自然を読む脳をニューロンリサイクルすることで文字を読むためのシナプス形成を獲得した可能性が高いという知見が紹介されていました。紙の本のページは自然を知覚する時と同様の三次元の奥行きを持っており持続的な注意力であるディープ・アテンションを可能にしますが、iPadなどデジタルメディア環境ではマルチタスク向けのハイパー・アテンション(過剰注意)へのシフトが起きるというのです。


これはネット環境と繋がっていることが当たり前の子ども時代を過ごした新しい世代とそれ以前の世代の間に情報処理の方法の違いが生まれていることを示唆します。


「ハイパー・アテンションは良くない。読書でディープ・アテンションを育てよう!」という単純な話ではありません。おそらく両方の注意のあり方それぞれに意味があるでしょう。しかし現代社会がハイパー・アテンションを求める方向にどんどん変化していることは確かであるようです。


すごい速さで変化していくこの時代を私たちはどう生きていくのか。正しい答えはありません。しかし新しい知見に触れること、自分がどんな社会を生きているのかを相対化しメタ的な視点を持つことがヒントになるかも知れません。


「発達障害かな…?」と不安になるような特徴が自分や家族にあったとしても日常生活がそれなりに回っていればそんなに気にすることはありません。私たちは多かれ少なかれみんな発達のアンバランスを持っています。しかし日常生活や仕事、学校でつまずいている、上手くいかずに悩んでいるという方はカウンセリングを受けられるのも1つの方法です。





自転車と風景
自転車と山形の風景

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